最近、以前のGoogleアドセンスに比べ、アドセンスを使っているサイト運営者に見えない影響を感じています。
理由は、10月前半までは、順調だったアドセンス収益が減少していること。具体的にはCPCが下がり、記事のアクセスが減少しはじめたことで、過去にはGoogleコアアップデートでしか体験したことが無いような状況が見え隠れします。
とは言え、2025年10月以降11月現時点までコアアップデートは確認できません。
そこで、様々な要因を調べて考察してみた結果、見えてきたことがあるので、今回記事にまとめてみました。
結論から言えば、2025年のアドセンス収益減は「構造変化」であり個人の努力では改善できない部分が大きいと言えます。
但し、解決策はないわけではありません。
それは「一次情報(体験)」への徹底シフト (Experience over Information)です。
もし、Googleアドセンスの収益が今までにないパターンで減少している方は、詳しく解説していますので参考になると思います。
2025年10月下旬から発生している収益・アクセスの減少について

Googleアドセンスを7年間運用している一人として、そしてWebコンテンツ提供者として、2025年10月下旬から発生している収益・アクセスの減少について分析します。
結論から言えば、いままで原因として考えていた「AI検索(AI Overview / SGE)による機会損失」という仮説です。
しかし、専門的な視点から分析して見ると、単に「AIが答えを出しているから」という理由だけでなく、「広告単価(CPC)の構造的な変化」と「検索意図の選別」が同時に起きていることが、今回の問題点を深刻にさせています。
その理由について、技術的かつ市場的な観点から詳細な分析と対策を検討してみました。
1. AI検索による「ゼロクリック」の加速
初めに推測した通り、検索結果画面でAIが回答を完結させる「ゼロクリック検索(Zero-Click Search)」の影響は各方面からも推測されていて、その影響は甚大と考えました。
- 情報探索型クエリ(Informational Query)の死: 「〜とは」「〜 意味」「〜 解決策」といった、事実を知るだけの検索において、ユーザーはブログ記事をクリックする必要がなくなりました。
- インプレッションの質の変化: これまでブログに流入していた層は「答えを探している人」でしたが、現在ぼくの特化サイトにたどり着いているのは「AIの回答では満足できなかった(より深い情報を求めている)層」か、あるいは「AIが回答しにくいニッチな悩みを持つ層」に限られ始めています。
- このことは、アクセスが増えている記事の内容からも、見て取れます。
ぼくの見解: アクセス数の減少は「全体的に減った」のではなく、「浅い悩みを持つライトユーザー層」がごっそりAIに奪われたと解釈すべきではないか。
2. CPC(クリック単価)が10円未満に低下している「真の理由」
アクセス減以上に深刻なのが、CPCの低下です。これには、AI検索以外の技術的な背景が絡んでいるのではないでしょうか。
A. 「スマートプライシング」の発動リスク
AdSenseのアルゴリズム(Smart Pricing)は、流入してくるユーザーの「質」を見ています。
AI検索を経由せずに(あるいはAIをスルーして)サイトに来たユーザーが、広告主にとって「成約(コンバージョン)に至りにくい」とGoogleが判断した場合、サイトの広告枠の評価額を強制的に下げます。
その結果、アクセス減によりデータが不安定になり、Googleが「このサイトのトラフィック価値は低い」と誤認(あるいは判定)している可能性があります。
B. 3rd Party Cookie廃止の完全施行(プライバシーサンドボックスの影響)
2024年〜2025年にかけてChromeでのCookie廃止が段階的に進み、2025年後半にはリターゲティング(追跡型広告)が極めて困難になっています。
- 影響: 以前なら「高単価なリターゲティング広告」が表示されていた枠に、Cookieを使わない「関連性の低い(単価の安い)広告」が表示されやすくなっています。これがCPC 10円未満の要因の一つです。
- 事実、アドセンスで高単価の記事は、収益が減少している傾向がみられます。
C. 広告主の予算シフト
2025年のトレンドとして、広告主は「個人ブログのバナー」よりも、「AI検索内のスポンサード枠」や「ショート動画」へ予算を移しています。
ブログ向けの広告在庫(入札競争)が減少し、単価が下がっている現象が見られます。
3. 2025年10月のアルゴリズム変動の可能性

AI検索だけでなく、検索エンジンのコアアップデートの影響も無視できません。
事実、Googleは9月に公表していないアルゴリズムアップデートを行いました。
たぶん気付いた方もいるのではないでしょうか?
アクセス数が減少しているのですが、掲載順位がグンと上位にシフトしている現象です。

- Helpful Content Systemの厳格化: Googleは「AIが生成できるような一般的な情報」しか載っていない記事の評価を極端に下げています。
- ブログ記事が「情報のまとめ」が中心なので、AI検索の影響以前に、検索順位自体が下げられている(インデックスの価値が低いとみなされている)可能性も否定できません。
4. 今後の対策:生き残るための「人間性」へのシフト

現状のまま「情報をまとめるブログ」を続けても、収益は回復しない可能性が高いと判断しました。
そこで以下の方向へ舵を切ることを検討することにしました。
① 「一次情報(体験)」への徹底シフト (Experience over Information)
AIは「事実」は語れますが、「体験」は語れません。
- NG: 「〇〇の原因と対策5選」
- OK: 例えば「〇〇の問題で苦しんだ私が、実際に試して効果があったこと失敗したこと」
読者は「AIの教科書的な回答」の内容に飽き始めています。
つまり、AIには無理な、泥臭い、人間味のある一次情報こそが、AIの回答の下にあるリンクをクリックさせる動機になります。
② 検索意図の「ずらし」
AIが即答できるキーワード(Short Tail)を捨て、AIが答えにくいキーワード(Long Tail)を狙います。
③ 収益源の多角化(AdSense依存からの脱却)
CPC低下が構造的な問題である以上、AdSense一本足打法は危険です。これは、以前から予測していたことです。
- アフィリエイト(ASP)の強化: PVが減っても、濃いユーザーが残っているので成約率は上がるはずです。
- 実際に、A8netでは、万単位での収益が出る月があります。アクセスが一桁でもマッチすれば収益が出るので見逃せません。
- また、Amazonアソシエイトでも、商品が売れるレビュー記事はAIには無理なので、オリジナルな記事で勝負することを継続することにしました。
- マイクロペイメント/投げ銭: 記事のファンがいるなら、noteやSubstackなどの直接課金要素を検討すべき時期です。
結論
分析した結果、問題は「検索結果画面での敗北(AIへの流出)」と「広告配信の裏側での敗北(Cookie規制と単価下落)」のダブルパンチを受けていることが見えてきました。
現状のアクセス数減少は「底」ではなく、今後さらにAIが賢くなるにつれて進行する可能性があります。
これからGoogleアドセンスで収益を継続するには、従来の常識だった「情報提供モデル」ではなく「人格・体験」を売るメディアへと転換する分岐点に立っていると考えます。


