ブログやWebメディアで収益を上げる上で、Google AdSenseは非常に便利な広告サービスです。
しかし、便利な反面、ポリシー違反による広告停止やアカウント剥奪というリスクも存在します。
違反の多くは、「知らなかった」「うっかりやってしまった」ことが原因で起こるものです。
この記事では、2025年の最新動向を踏まえ、よくある違反のパターン、見落としがちな原因、実際に起きた事例、そして解決策や未来の動きまでを深く掘り下げて解説します。
当記事は、2025年4月9日時点でまとめています。
Google AdSenseを取り巻く現状

Google AdSenseは、世界中で利用されているインプレッション収益型の広告です。
多くのブロガーや企業が導入しており、その信頼性と収益性の高さから「定番の収益化手段」として定着しています。
しかし近年は、ポリシー違反に対する取り締まりが厳格化しています。
これはGoogleが広告主を守るために行っている措置であり、不適切なコンテンツに広告が表示されることでブランドイメージが毀損されるのを防ぐ狙いがあります。
特に2025年に入ってからは、AIによる自動判定の精度が向上し、過去には見逃されていた違反も即座に検出されるようになりました。
広告制限やアカウント停止は、突然かつ非通知で行われる場合もあり、影響は深刻です。
また、2024年から、 AdSenseはクリック報酬型からインプレッション収益型になりました。
「インプレッション収益」では、ブログに表示される広告を、ユーザーが閲覧することで得られる収益のことです。
つまり、広告がクリックされなくても、単に表示されるだけで収益が発生するため、アクセス数の多いサイトにとっては重要な収益源となります。
詳細は以下の記事をご覧ください。
ポリシー違反の種類とその仕組み

AdSenseポリシー違反は大きく以下の4分類に分けられますが、それぞれの背後には「なぜそれが違反になるのか?」という論理があります。
ただ表面上のルールだけでなく、Googleが何を守ろうとしているかを理解することが重要です。
コンテンツ関連の違反
- 成人向け・扇情的な表現:わずかな肌の露出や性的連想を含む表現でも違反扱いされることがあります。アフィリエイトバナーや画像広告も対象です。
- 誤情報・医療系の表現:個人の体験談であっても、根拠のない健康効果を謳えばポリシー違反。YMYL(Your Money Your Life)領域では特に厳格。
- 著作権侵害・コピーコンテンツ:生成AIの活用が広まったことで、「意図しない剽窃」が増加。引用のルールがあいまいな記事もリスクがあります。
広告配置の違反
- コンテンツと見分けがつかない広告:記事の一部のように見える広告は、ユーザーを欺いていると見なされます。
- 追尾広告の過剰使用:ユーザーがスクロールしても常に表示される広告が多すぎると、ユーザー体験の阻害と判断されます。
クリックに関する違反
- 自己クリック:誤クリックでもGoogle側では検出可能。「間違って押した」は通用しません。
- クリック誘導の文言:「この広告をクリックして応援してください」は明確なルール違反。リンクボタン風のデザインもリスクあり。
無効なトラフィック
- アクセス交換・アクセス購入:PV数を増やすためにアクセスを買う行為は、AdSenseの根幹を揺るがす行為として非常に重く見られます。
- ボットアクセス:SEOツールやBotによるクローリングでも、トラフィックが不自然だと制限対象になることがあります。
【参考ページ】Google パブリッシャー向けポリシー
違反の潜在的な問題はどこにあるのか?

表面化している違反はほんの一部にすぎません。
本当に恐ろしいのは、「自分では気づいていないポリシー違反」です。
ポリシー違反は単なるルール違反ではなく、運営者の姿勢や体制に根差した問題があることが多いのです。
「わかっているつもり」が最大の盲点
ポリシーは一度読んだら十分、と思っていませんか?
実はAdSenseのポリシーは頻繁にアップデートされており、2025年現在の最新ルールに即していない運用は、それだけでリスクです。
運営歴が長い人ほど、過去の知識に頼りがちになり、気づかぬ違反を招いてしまう傾向があります。
2025年現在GoogleAdSenseの最新ルール:ポリシー違反によるアカウントの警告と停止
外注体制が整っていない
コンテンツ制作を外注している場合、「外注先がポリシーを理解しているか」をチェックしていますか?
生成AIを使った記事納品も増えており、人の目でのチェック体制がない限り、知らぬ間に違反コンテンツが量産されてしまうリスクもあります。
知らずに「グレーゾーン」を放置している
「このくらい大丈夫だろう」という判断基準は、Googleの基準とは一致しません。
特に健康・美容・金融・副業といったジャンルでは、広告主が敏感に反応するトピックが多く、ポリシーのグレーゾーンを狙う記事は、それだけでAdSense全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
よくある違反事例【実際に多いパターン】
読者が自分の状況と照らし合わせて気づけるよう、実際に多く見られる違反事例をさらに詳しく紹介します。
事例①:「健康に良い」と書いたハーブの記事がアウトに
筆者の個人的な感想でも、「このハーブを飲んでから風邪を引かなくなった」など、医療効果を示唆する表現はポリシー違反に該当します。体験談もアウトになり得るということを覚えておきましょう。
事例②:「クリックしてね!」という一言で全記事が広告停止
過去に投稿した100記事のうち1記事に、クリック誘導の記述があったことで全体の広告が止まったケースもあります。たった一言で数十万の損害になることも。
クリック型からインプレッション型になっても、「クリックしてね!」は、違反リスクがあるようです。
事例③:生成AI記事の引用が曖昧だった
AIで書いた記事の中に、Wikipediaや他サイトの記述を微妙に言い換えた部分があり、著作権的にグレーと判定されました。
生成AI時代では、オリジナリティの証明責任が運営者にあると言っても過言ではありません。
違反を未然に防ぐための解決方法
違反リスクを最小限に抑えるには、「事後対応」ではなく「事前予防」が鍵です。
以下の方法を実践することで、信頼性の高いAdSense運営体制を構築できます。
ポリシー研修と定期的なチェック体制
- 運営者・ライター・編集者など、関係者全員がポリシーを理解すること
- 四半期ごとにポリシーの更新を確認し、対応策を文書化
- 過去記事にも定期的に目を通し、現在のポリシー基準で問題がないか確認
記事制作フローに「ポリシー確認ステップ」を組み込む
- タイトル・構成案の時点で違反リスクをチェック
- 記事完成後にツール+人力でのダブルチェック
- 問題があった場合は公開前に修正→履歴記録を残す
「広告収入を分散」する考え方
- 物販アフィリエイトや企業タイアップ記事の導入
- noteやメルマガなどファンベース型収益とのハイブリッド
- 収益の柱を3本以上持つことで、AdSense停止時の影響を最小限に
【参考ページ】Google:無効なトラフィックやポリシー違反によりアカウントが停止した場合の対処法
2025年以降に起こるかもしれない未来の考察
今後のAdSenseは、「ルールを守るかどうか」以上に「信頼できる運営者かどうか」が判断基準になるでしょう。
Googleが求めるのは、ユーザーの満足度と広告主の安心感の両立です。
AIによる高度な文脈理解が加速する
GoogleのAIは、文章の意味や文脈をより深く理解するようになっています。
内容だけでなく「誰が書いているか」「何を根拠としているか」といった文脈情報までも審査対象となるでしょう。
Google検索の進化版が、まもなく日本でも開放されるでしょう。
GoogleAdSenseを運用するブログでは、これらの新しい検索モデルに対応すべく、コンテンツを作成する必要があります。
単なるキーワード検索ではなく、文脈そのものがキーワードを超える情報になります。
その結果、Google検索結果で上位表示される基準は、現在以上にE-E-A-Tが重んじられるようになります。
参考に、まとめた記事を紹介します。
著者の実在性・専門性が評価される
今後は、記事の信頼性を裏付ける要素として「実名」「プロフィール」「リンク元」などが評価される傾向が強まります。
匿名ブログでも、透明性と実在性を示す工夫が重要になります。
広告だけに依存しない“自立型メディア”へのシフト
広告依存型のメディアは、アルゴリズム変更やポリシー違反の影響を受けやすい構造です。
将来的には、課金型コンテンツ、会員制サービス、サブスクなど、安定的かつ自立的な運営スタイルが求められるようになるでしょう。
Google AdSense ポリシー違反事例一覧表(2025年4月時点)
ここに具体的な事例を一覧表にしたので参考にしてください。
この表は、ChatGPTにより情報収集した結果をまとめた結果です。
ジャンル | 違反事例 | 違反と想定する理由 |
---|---|---|
コンテンツ | 「このハーブで風邪が治る!」などの医療効果を示唆する表現 | 根拠のない医療情報はユーザーを誤解させるため厳禁(YMYL領域) |
コンテンツ | 過激な画像(肌の露出、水着写真など)を掲載 | 成人向け・性的と判断される可能性あり |
コンテンツ | 無断でコピーした記事や画像をそのまま掲載 | 著作権違反、低品質コンテンツとして扱われる |
コンテンツ | 生成AIで書いた記事の引用元を曖昧にしたまま公開 | オリジナリティ不明のため重複・盗用と判定されることがある |
広告配置 | 記事の見出し下に広告を配置し、内容と混同されやすくする | 誤クリックを誘発するレイアウトは「ユーザーの欺き」に該当 |
広告配置 | スクロール追尾型広告を3つ以上同時に表示 | ユーザー体験の阻害と判断される |
誘導行為 | 「この広告をクリックして応援してね!」と記述 | 明確なクリック誘導は重大な違反 |
誘導行為 | ボタン風デザインで広告を設置(例:今すぐ申し込む!) | ユーザーが広告と認識できない形式は不正誘導とみなされる |
トラフィック操作 | 自分で自分の広告をクリック | 自己クリックは自動検出され、即時アカウント制限対象 |
トラフィック操作 | アクセスを購入・アクセス交換を行う | 無効なトラフィックとみなされ、AdSenseの信頼性を損なう |
トラフィック操作 | Botによるアクセス分析ツールの使用が原因で不自然なトラフィック発生 | 検出されると不正トラフィックと認識されることがある |
旧記事の放置 | 3年前の記事にクリック誘導の文言が残っていた | 1つの違反でも全記事に影響する可能性がある(サイト全体が審査対象) |
【参考】2019年9月:AdSense ポリシーが変更された事例
Googleでは、AdSenseポリシーを変更することがあります。
6年前の事例ですが、実際にこのように変更のお知らせが届きました。
ポリシー改定頻度は意外に多いため、時々チェックすることをおすすめします。
では、事例を紹介します。
ポリシー変更のお知らせが届く
Googleアドセンスを利用しているサイト運営者向けにお知らせが来ました。
アドセンスアカウントにも影響があるというコメントが入っていましたので、内容を確認します。
2019 年 9 月より、サイト運営者 / パブリッシャー向けサービス(AdSense、AdMob、アド マネージャー)のコンテンツ ポリシーを一部変更いたします。
引用:「Googleアドセンス重要なお知らせ」より
現時点ではサイト運営者様 / パブリッシャー様への影響はありませんので、お客様にご対応いただくことはございませんが、来月に予定されている変更に備えてこのメールの内容をよくお読みいただきますようお願いいたします。
特に具体的な対応の必要はなく、内容をよく読んでおくようにというメッセージと受け取りました。
その上で、内容を確認してみました。
コンテンツポリシーの一部変更について
この案内文をよく読むと、コンテンツポリシーの一部が9月から変更になるということです。9月の変更に向けて、よく読んでおく事という趣旨ですね。
変更理由は、ポリシーの簡素化と合理化で、ポリシーとの付き合い方や違反によって生じる影響を、サービスを問わず明確かつ簡単に整理しますということです。
どんな影響があるのでしょうか?
主な2つの変更点に関してどの様な影響があるのか確認しました。
変更1:「Google パブリッシャー ポリシー」
収益化の対象から除外されるコンテンツ タイプの規定が明確になるということです。
収益にはつながらないコンテンツのタイプを明確に規定することになるのです。
除外されるコンテンツタイプ
- 違法なコンテンツ
- 児童の性的虐待や小児性愛に関するコンテンツ
- 露骨な性的描写を含むコンテンツ
- 成人向けのテーマを含むファミリー向けコンテンツ
- 知的財産が不正使用されているコンテンツ
- 絶滅危惧種を原材料とする商品を宣伝するコンテンツ
- 危険または中傷的なコンテンツ
- 不正行為を助長するコンテンツ
- 不実表示を含むコンテンツ
- 悪質なソフトウェアやユーザーが求めていないソフトウェア
- 国際結婚の斡旋に関するコンテンツ
変更2:Google パブリッシャー向け制限事項
広告の供給が制限されるコンテンツ タイプについて規定するということです。
Google 広告では、これらのコンテンツは従来どおり広告配信の対象外となります。つまり配信しないということです。
対象の制限されるコンテンツタイプ
- 性的なコンテンツ
- 衝撃的なコンテンツ
- 爆発物に関するコンテンツ
- 銃に関するコンテンツ
- 銃の部品や関連商品に関するコンテンツ
- その他の武器に関するコンテンツ
- タバコに関するコンテンツ
- 危険ドラッグに関するコンテンツ
- アルコールの販売と乱用に関するコンテンツ
- オンライン ギャンブルに関するコンテンツ
- 処方薬に関するコンテンツ
- 未承認の医薬品やサプリメントに関するコンテンツ
AdSense パブリッシャーへの影響は?
Google パブリッシャー向け制限事項に含まれるコンテンツの収益化は、従来と異なりポリシー違反とはならないという説明です。
Google パブリッシャー向け制限事項に含まれるコンテンツを収益化しても問題は無いと説明しています。
しかし、「制限対象でないコンテンツよりも広告の供給が少ない可能性が高い点にご注意ください」としています。
一方、Google サイト運営者 / パブリッシャー向けポリシーに含まれるコンテンツを収益化することは禁止されていますので、該当コンテンツには広告を設置してはならないと説明しています 。
現行のポリシーと同様に、ポリシー違反のコンテンツを収益化しようとすると、アカウントが一時的または恒久的に停止される可能性があるとのことで、従来通りポリシーを守ることが必要ですね。
必要な対応は不要だった
現時点では必要な対応は特に無いようです。
2019 年 9 月から、ヘルプセンターとポリシー センターに「ポリシー」および「制限事項」が反映されるので、新しいポリシーと制限事項に目を通し、運用中のコンテンツが対応しているかどうかをご確認することが必要だと説明しています。
まとめ
Google AdSenseのポリシー違反は、「うっかり」「知らずに」が大半を占めます。
そしてその背景には、コンテンツ制作・運営に対する深い理解と配慮があるかが問われています。
あなたのブログは、広告主・読者・Google、すべての信頼を得られる設計になっているでしょうか?
nao(NAOテック)