生成AIの出現により、初心者でもブログ記事をプロ並みにあっという間に作成できるようになりました。
とても便利な生成AIですが、一方危険なリスク「ハルシネーション」があります。
当記事では、ブログ初心者が生成AIを使う時のリスク「ハルシネーション」の意味と回避対策を詳しく解説します。
ハルシネーションとは?

「ハルシネーション」は英語で「hallucination」と書きます。
その本来の意味は、見たり聞いたり感じたり嗅いだりしたものが、実際には存在しない状況を表します。そこから、「幻覚」や「錯覚」という意味で使われています。
重要なことは、「実際には存在しない状況」です。
「ハルシネーション」の用語は、生成AIの分野でも使用されています。
AIが生成した情報が、実際には存在しなかったり、事実とは違う場合の現象を指します。
はじめに、ハルシネーションが発生した事例を紹介し、その後、詳しく説明を進めていきます。
ハルシネーションが発生した事例

生成AIがハルシネーションを発生させた有名な事例を紹介します。
実際の事例なので、どのような現象なのか実感できると思います。
資料に存在しない判例が引用された(2023年)
2023年、米ニューヨーク州の連邦裁判所で発生したハルシネーションの事例です。
この事例は、2025年3月1日(土) 17:51にYahooニュースでも配信されました。
スティーブン・シュワルツという弁護士が提出した資料に、実は存在しない判例が引用されました。
その結果、裁判所は2023年6月にスティーブン・シュワルツ弁護士、関与したもう1人の弁護士、所属法律事務所に5000ドルの制裁金を科しました。
原因は、シュワルツ弁護士がChatGPTをリサーチの補助に使ったことにあります。
ChatGPTが出力した資料について虚偽の可能性があるとは認識せず、そのまま活用したことが原因でした。
実はChatGPTが出力した6件の判例は実在しない架空のものだったことです。
ChatGPTでハルシネーションが発生した原因は、2つの事件は驚くほどそっくりだためとしています。
生成AIにおけるハルシネーションの影響とリスク

生成AIは非常に便利なツールで、あっという間にブログ記事を作ってくれます。
しかし、初心者が生成AIの出力をチェックせずに、そのままブログ記事として投稿・公開することは大きなリスクが伴います。
どのような危険性があるのか説明します。
1. 誤情報の拡散
社会的に影響を及ぼすのは、誤情報を拡散してしまうことです。
先ほどの事例の様に、例えば生成AIが書き出した記事は、全てが正しいとは限りません。
万が一誤情報を拡散すると、特に、法律・金融・医療といった分野では重大な影響を及ぼす可能性があります。
公的シンクタンク「研究開発戦略センター(CRDS)」では、生成AIの問題点を指摘しています。
医療における生成AIの利活用には懸念もある。生成AIの問題として「ハルシネーション」(生成AIがもっともらしい虚偽情報を生成すること)が指摘されている。また、不当な差別などの倫理的に適切でないアウトプットを完全に排除することも困難である。生成AIのこうした問題の解消に向けた研究開発と並行して、医師の責任下で行われることを前提とした使用ルールや関連する法規制の整備が必要である。
引用元:研究開発戦略センター(CRDS)
2. 信頼性の低下
そもそもブログ記事に誤情報があれば、読者の信頼を失うリスクがあります。
コンテンツに誤情報が含まれていると、SEOにも影響を与えいます。最近はSEOまで包括するAIO対策へと進化していますので、さらに影響は大きくなるでしょう。
Googleはコンテンツに、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を重視しています。
つまり、信頼性を失う情報を含むブログサイトは、Googleの評価を下げるリスクがあります。
3. 著作権や倫理的問題
AIが生成するコンテンツには特徴があります。
生成AIの頭脳にあたるのが「LLM(大規模言語モデル)」と呼ばれる大量もマルチモーダルデータ(テキスト、画像、動画・・)を学習して、人間のように自然な言葉を理解して処理するAIモデルです。
このLLMは、WEB上の既存の最新データを学習します。
その結果、AIが生成したコンテンツには、既存の情報がベースになることも否定できません。
この既存の情報が他者の著作物に近すぎる場合、著作権侵害のリスクが発生します。
また、LLMは学習したWebから集めた情報を学習するのですが、コンテンツの品質は理解できません。
品質の悪いものも、良いものも、判別がつきません。
その結果、倫理的に問題のある内容を生成してしまうケースもあり、ブログ運営者の責任が問われる可能性があります。
ハルシネーションを回避する4つの方法

初心者が生成AIを活用するときには、ハルシネーションの発生リスクを抑えるために以下のポイントを意識することが重要です。
1. 生成内容のファクトチェックを行う
ハルシネーションの事例で紹介した通り、生成AIが出力した情報をそのまま採用しないで事実確認を行うことが必須です。
具体的には以下の方法でチェックしてください。
- 公式情報を確認する(政府機関、企業の公式サイト、学術論文など)
- 信頼できるニュースサイトや専門家の意見を参考にする
- 複数の情報源を比較する
実際に手作業でWeb検索してみると、現在でもハルシネーションが発生しています。
この記事を作成する上で、ChatGPTの情報をチェックすると、間違いが3つ確認できました。
また、ChatGPT、Gemini、Claudeの3つでチェックすると、それぞれ違う回答を返してきました。
それぞれ実際にファクトチェックすると、意外とハルシネーションが見つかります。
2. AIの得意・不得意を理解する
AIは事実を認識することはできません。
AIにはデーターセットという学習するための情報があり、特化した情報を持っています。
経済、画像、数学・・・それぞれ得意な分野があります。
そのため、不得意な分野ではハルシネーションが発生するリスクがあります。
特に、以下のような分野ではハルシネーションが発生しやすいため、注意が必要です。
- 最新ニュース(リアルタイムの情報には対応できない)
- 法律・医療・金融(専門的な知識が必要な分野)
- 具体的な数値データ(AIが架空の数字を作り出すことがある)
これらのポイントをチェックすることをおすすめします。
3. 自分の知識を活かして編集する
AIの出力をそのまま掲載するのは、Googleの評価から見てもあまり得策とは言えません。
理由は、高品質のコンテンツは生き残りますが、独自性のない、AIが既存の情報から乱造したコンテンツは価値がありません。
「SEO for Google News」の中で、2025年3月3日にBarry Adams氏は次の様に考察記事を公開しています。
The LLMs can’t determine quality and selectively ingest content; they’ll absorb everything on offer, regardless of its merit.
引用元:SEO for Google News
次の通り直訳しました。
凡庸さは LLM の本質です。彼らのトレーニング データは、Web 上で利用可能なすべてのコンテンツです。つまり、ひどいコンテンツ、平凡なコンテンツ、素晴らしいコンテンツ、そしてその中間のコンテンツすべてです。LLM は品質を判断してコンテンツを選択的に取り込むことはできません。メリットに関係なく、提供されるものすべてを吸収します。
その結果、最終的に次の通りまとめています。
Being a mediocre, forgettable publication is a death sentence. You need to stand out and produce content worth consuming, worth subscribing to, and worth paying for. Anything less than that, and you will find yourself drowning in an ocean of GenAI mediocrity.
引用元:SEO for Google News
直訳すると以下の通りです。GenAI(Generative AI)とは生成AIの略称です。
平凡で忘れられがちな出版物は死刑宣告です。目立つ存在となり、消費する価値があり、購読する価値があり、お金を払う価値があるコンテンツを作成する必要があります。それ以下のものなら、生成AI の平凡さの海に溺れてしまうでしょう。
つまり、自分の言葉で書き、価値のあるコンテンツ、しかもお金を払ってでも手に入れたいコンテンツが残ると言います。
それ以外は、良い記事も悪い記事も同じ「平凡」グループと判断され、平凡の海に沈んでしまうといいます。
対策としては以下の改善点が重要です。
- 自分の言葉で書き直す
- 追加の情報を加える
- 誤りがないか慎重に確認する
ことで、より正確で独自性があり信頼性の高い、高品質のブログ記事に仕上げることができます。
4. AIのバージョンや設定を適切に管理する
生成AIのモデルによっては、より正確な情報を生成するものもあります。
2025年3月時点では、最新の信頼置けるWebサイトから集めた最新の情報を学習しているのが、ChatGPTやGemini、そしてClaudeも更新しました。
例えば、最新のAIモデルではハルシネーションの抑制が改善されている場合があるため、適切なモデルを選択しましょう。
とは言え、今回も当記事の参考にしようと「ハルシネーション事例」を生成AIで調べたら、タイトルと内容が一致しない事例を返してくる問題が発生しました。
各AIの画面には次の通り注意があります。
- ChatGPT:「ChatGPT の回答は必ずしも正しいとは限りません。重要な情報は確認するようにしてください。」
- Gemini:「Gemini は不正確な情報を表示することがあるため、生成された回答を再確認するようにしてください。」
- Claude:「Claudeは間違えることがあります。回答内容を必ずご確認ください。」
この表示が消えない限り、生成AIのハルシネーションチェックは必須と言えます。
まとめ
生成AIの「ハルシネーション」は、初心者がAIを活用する際に特に注意すべきポイントです。
AIの出力をそのままブログに掲載するのではなく、
- ファクトチェックを徹底する
- AIの特性を理解する
- 自分の知識と編集力を活かす
- 適切なAIツールを選ぶ
といった対策を講じることで、より信頼性の高いブログ記事を作成できます。
生成AIは非常に便利なツールですが、そのリスクを理解し、正しく活用することが成功への鍵となります。